
こんにちは、ころはの店主です。
新しく手に入れた器、洗っただけでそのまま使っていませんか?
実は、使用前に正しいお手入れをすることで、うつわが衝撃や汚れに強くなるんです。
陶器には、目には見えない小さな凹凸がたくさんあり、そこに食材が入り込むことで変色や臭い移りが起こることがあります。
これを防ぐために、うつわの表面をコーティングする「目止め」という作業が必要です。
目止めをすることで、シミやひび割れも予防でき、うつわを長く美しく保つことができます。
使用前のお手入れは、とても大切な作業なんです。
今回は、陶器の手入れ方法についてご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
うつわの底(高台)を確認して、ザラついている場合は、滑らかに整えましょう。

高台がザラザラしていると、テーブルや食器棚を傷つけてしまうことがあります。
新しいうつわを購入したら、まず高台をチェックしてみましょう。
お気に入りのテーブルに傷がついたら、がっかりしますよね。
ほとんどの場合、作家さんやお店であらかじめ滑らかにしてくれていますが、念のため確認を忘れずに。
使用前のチェックは大事です!もし高台がザラついていたら、目の細かいサンドペーパーや砥石で軽く擦ったり、うつわ同士の高台を擦り合わせて、滑らかになるまで磨いてください。
「目止め」の方法。汚れを落とし、米のとぎ汁で煮る。

磁器は石のような素材なので、水や汚れを通さないですが、陶器は土の素材なので違います。
目に見える貫入(細かいヒビ)以外にも、気泡などの小さな穴がたくさんあります。
ここから汚れや水分が入ると、シミやカビの原因になります。
さらに、料理を残したままにしておくと、うつわに臭いが移ってしまうことも。
汚れや臭いを防ぐには、うつわの表面にある穴を埋めることが大事です。

使う前のひと手間で、うつわを長持ちさせることができます。
まず、高台を滑らかにし、うつわの汚れを落としたら、「米のとぎ汁」で煮てください。
米のでんぷん質が表面の穴を埋め、うつわが衝撃や汚れに強くなります。
一方、磁器には吸水性がないので、陶器のように煮る必要はありません。
柔らかいスポンジを使って、うつわに付いた汚れをしっかり洗い流すだけで大丈夫です。
特に色絵や金彩の部分は傷つきやすいので、優しく洗ってください。
鍋にうつわがかぶる程度の米のとぎ汁を入れ、15~30分ほど煮て、そのまま自然に冷ましてください。
これだけで目止めができるので、とても簡単です。

米のとぎ汁がない場合は、“米ぬか”を使って目止めをする方法もあります。
最近では、ホームセンターやスーパーに精米機が置いてあることも多いので、そこで無料で米ぬかを手に入れることができます。
また、米屋さんにお願いして、米ぬかをもらうのもいいかもしれませんね。
磁器には必要ありませんが、陶器・焼締・粉引・半磁器などにはこの処理が必要です。
ただし、何枚も同時に煮ると器同士がこすれて傷がつくことがあるので、注意してくださいね。
煮た後は、自然乾燥で完全に乾いたことを確認してから食器棚にしまいましょう。
乾燥が不十分だと水分が残り、カビの原因になるので、しっかり乾燥させることが大切です。
また、最近では作家さんや窯元、販売店が出荷前に撥水処理をしている場合もあります。
撥水処理されている器は、水をかけた時に水滴が玉になって弾くので確認できます。
その場合、米のとぎ汁で煮る必要はありません。
逆に、撥水処理がされている器をとぎ汁で煮ると、撥水効果が弱まることがあります。
お店や作家さんに確認できる場合は、事前に聞いてみると安心です。
ご使用後のお手入れ。

うつわは丁寧に扱っていても、長く使うとどうしても汚れがついてしまいます。
そんな時は、歯ブラシや漂白剤で時々ケアをしてあげることが大切です。
ただし、色絵や金彩・銀彩のうつわには漂白剤は使えません。
うつわの種類や汚れの具合、損傷の状態によって、ケアの方法も異なります。
では、具体的な汚れ別に対処法をご説明いたします。
① 茶渋や黄ばみがついた場合
食器用漂白剤に器をつけます。
陶器などの土ものは汚れが奥まで入ることがあるので、少し長めにつけましょう。
(漂白剤の匂いが気になる場合は控えた方が良いです。)
貫入に入った茶渋は無理に取らなくても大丈夫です。
むしろそれが味わいと感じる方もいます。
また、メラミンスポンジやアクリルたわし、歯ブラシなどで軽く磨くのも効果的です。
(表面の素材によって道具を変えると良いでしょう。ツルツルしたものにはメラミンスポンジ、ザラザラした焼締にはアクリルたわしや歯ブラシがおすすめです。)
② カップの縁や持ち手の汚れを取る場合
茶渋と同じように、メラミンスポンジを使うと効果的です。
手や口の汚れは、濡らしたふきんを使って左右に軽くこすると取れやすいです。
特にシミが気になる場合は、使う前に器を水に浸けておくのが良いでしょう。
吸水性の高い土ものなら、使う前に10分以上浸けておくと汚れ防止になります。
③ 銀彩の黒ずみを取る場合
銀彩は時間とともに酸化して黒くなることがあります。
この場合、漂白剤やメラミンスポンジでのケアは避けてください。
代わりに、柔らかい布やスポンジを使って優しく磨きます。
アクセサリー用の銀磨き剤や歯磨き粉を布に少し付けて磨くと、銀彩がキレイに輝きを取り戻しますよ。
いかがでしたか?
今回はうつわの汚れに対するケア方法をご紹介しました。
毎日の手入れで、お気に入りのうつわを長く大切に使うことができます。
ぜひ、日々の暮らしの中で実践してみてください。